↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(奥村修計君)
出席議員半数以上であります。これより議事日程第3号により本日の会議を開きます。
日程1
市政一般質問
について、12月5日に引き続き
市政一般質問を行います。19番
井原東洋一君。
〔
井原東洋一君登壇〕
2 ◯19番(
井原東洋一君) おはようございます。
市民の会、
井原東洋一でございます。
市政一般質問に先立って、若干の時間をいただきたいと思います。
「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」の暗号電報で命令を受けた日本海軍は、1941年12月8日(現地7日)午前3時19分、週末のオアフ島真珠湾に停泊中の
アメリカ太平洋艦隊に奇襲攻撃を加え、アジア・太平洋戦争を引き起こしました。この無謀な戦争は、世界51カ国の人民に未曾有の損害を及ぼし、自国もまた三百数十万人の尊い人命と莫大な財産を失い、沖縄、広島、そして我が長崎等の美しい山河を廃墟にして、1945年8月15日
ポツダム宣言受諾、9月2日
降伏文書署名をもって正式に敗北の終結を迎えたのであります。この深い反省の中から戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を柱とする平和憲法を誓いとし、民主主義の萌芽が育ちつつありましたが、米ソ両体制の冷戦のはざまでほどなく軍隊を保有し、
日米安全保障条約のもとに憲法の空洞化が進んできました。
あれから56年の時を刻みました。しかし、沖縄に集中する
米軍基地機能はますます強化され、多国籍化した大企業の権益を守り、経済大国としての覇権を求めて、今度は星条旗の後方に日の丸を立てて、またまたアジアや太平洋諸国へ軍隊を送り込み、世界制覇をもくろむ米国の露払いをするような政治状況にあります。過去の戦争に対する国家責任をあいまいにしたまま、新
自由主義史観なども横行し、戦争プランといわれる新ガイドラインを取り結び、
有事立法制定に突き進んでいる現況は、国民の大部分が生きる権利の保障に危機感を抱いている今日、到底許容されるものではありません。56回目の反省の日を迎えるに当たり、総保守化と称される政治に風穴をあけ、平和憲法の理念を世界に広げる役割が被爆体験を持つ平和発信の地・長崎にあることを強く意識し、護憲と再不戦の誓いを新たにすべきことを心の底から訴え、戦後世代の代表でもあります市長にも、このことについて賛意を要望するものであります。
具体的質問に入ります前に、一言市長に申し上げます。私が6月及び9月定例会で取り上げました
産業廃棄物処理施設の指導・監督体制の強化と水道水源の水質保全の訴えに対し、市長は「率直に反省の上、専門部局との連携を取り、技術的・組織的指導を行う」と明言されましたが、その約束どおり早速10月1日から体制を強化され、技術面で指導・監督を行う常設組織を設けられ、
水質監視機材も整備されるなどの具体的対策を講じられました。このことは、環境行政上の大きな施策であり、時を待たなかった市長の姿勢と実行を評価し、率直に拍手を送るものであります。
さて、自然環境と社会環境の悪化が人々の営みの中から生じていることを知りながら、個々人のモラルの問題としてはそれを解決できないというまことに残念な今日、行政機関が担っている役割は非常に大きいものがあります。自然環境に及ぼす負荷を可能な限り減少させ、かつ快適な環境を保全するために日夜奮闘されている環境部及び近代都市の
根幹的都市施設として下水道を建設、維持管理されている皆さんに、まず敬意を表します。しかし、両部の積極的な事業推進の谷間にあって、行政としていつまでも放置できない課題のうち、今回は2つの問題について質問するものであります。
一つは、下水道化の進展に伴って生じてきている
工事困難地区解消の問題であり、もう一つは、下水道化の進展に伴って直接的に影響を受け続ける
株式会社衛生公社の
経営安定対策であります。
長崎市は、昭和27年に
下水道事業に着手以来、今日までのおよそ45年間に建設費だけをみても総額2,030億円の巨費を投じ、殊にこの10年間は年平均120億円を超える建設事業費をもって普及率68%達成を目前にし、平成12年には70%の大台に乗ることが見込まれています。しかし、認可及び整備区域の中に
下水道化困難地区が残されており、また、
市街化調整区域は特別の施策なしには下水道の恩恵を受けることができない現実にあります。
一方、下水道化の進捗に伴い、し尿の収集運搬及び浄化槽の維持管理や清掃を受け持っている
株式会社衛生公社は、直接的にその影響を受け、経営基盤は他動的にゆるがされています。衛生公社は、これまでも市の指導のもとに企業努力を重ね、自主事業の開発と徹底した合理化に努められていますが、下水化の急速な進捗は、企業努力の限界を越え、市の全
庁的取り組みとして
経営安定化事業が計画に基づいて実施される運びとなったことは評価されます。
さて、
下水道化困難箇所のうち、市街化区域においては本管より低地の取り込みがあり、最終的に残される
ポンプアップ必要箇所対策が急務であろうと思います。担当部は長期の検討を加えられてきており、具体的な実施要綱の制定が待たれているところでありますが、果たしていつから実施されるのか、その時期を明示していただきたいのであります。
また、
ポンプ排水施設を設置する場合には、通常の
面整備箇所と同様に、所定の負担金は別として建設と維持管理に
受益者負担を行わせないことを原則とすべきだと考えますが、その点、市長のお答えをいただきたいのであります。
次に、衛生公社が
家庭用合併処理浄化槽の新型を開発し、特許を取得しており、ビルド部分として事業展開をもくろんでいることは、ご承知のことと思います。
そこで、市においては、
市街化調整区域などのうち、
農業集落排水事業や
特定環境保全公共下水道事業が展開できない所について、公社開発の浄化装置を積極的に採用するなど物心両面の対策を講ずることが具体的な
経営安定化対策の一つではないかと思います。
以上、本管より低地の
ポンプ排水事業を
自然流下箇所と同一条件で整備する要綱を制定すること、及び
衛生公社開発の浄化槽を積極的に採用稼働させて、快適環境、とりわけ河川浄化を推進されることを願い、壇上からの質問といたします。
ありがとうございました。=(降壇)=
3 ◯議長(奥村修計君) 伊藤市長。
〔伊藤一長君登壇〕
4 ◯市長(伊藤一長君) 皆さん、おはようございます。
井原東洋一議員のご質問にお答えをいたしたいと思います。
まず、
公共下水道本管より低い区域に対します
下水道整備への
取り組み状況についてお答えをいたしたいと思います。
下水道整備を進めていく中で、市街地の70%が丘陵地であるという本市独特の地形的理由により下水道の整備が困難な箇所が市内に約950カ所存在しております。これらの
下水道整備対策といたしましては、河川を利用する方法、他人の土地を利用する方法、
ポンプ設備を利用する方法、及びこれらを複合して利用する方法がありますが、将来の維持管理を考えますと、自然流下で対応できる河川の利用及び民地の利用を第一に考え、箇所ごとに対応策を位置づけ実施に当たっているところであります。
まず、河川を利用する際には、水路の通水機能に支障を来さない形で汚水管の布設を行っており、
都市下水路等を積極的に活用し推進してまいりたいと考えております。また、他人の土地を利用しなければ水洗化できない箇所、いわゆる民地を利用する場合、地主等の了解のもとに実施しているところであります。しかしながら、地主等との協議の上でちょっとした問題から了解が得られず水洗化が困難なケースが多々あることも事実でございます。こういった水洗化に伴う民事上の諸問題に対処するために、平成8年5月に弁護士等3人の専門家の皆様方によります「
あっせん機関」を設置し、問題解決への体制を整えているところであります。しかし、河川や民地を利用できず、自然流下が困難な地域については
ポンプ設備を利用しなければ水洗化は困難であります。したがって、水洗化を希望される方は個人負担により
ポンプ設備を設置し利用されているのが現状であります。
これまでは普及率の向上を優先し、本市の事業としての整備が自然流下を第一としてきた関係上、
ポンプ設備を要する私道への低地対策につきましては先送りがなされてきたところでありますが、井原議員ご指摘のように、普及率も70%に届こうとしております現在、
下水道整備区域として位置づけをしている以上、行政を預かる私といたしましては、住民に対しまして快適な生活を保障する責任があるわけであります。
これまでも多くの議員の皆様方から本会議等で同様な指摘がなされてまいりました。強い要請があっている事項でもございます。早急に実施要綱の整備を図りまして、一定の基準のもとに前向きに対処してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、
市街化調整区域内における衛生的な
汚水処理対策といたしまして、
下水道整備への
取り組み状況についてお答えをいたします。
本市における
市街化調整区域の
汚水処理対策といたしまして、水質保全のための中尾ダム(田中町)の上流部で実施しております建設省所管の「
特定環境保全公共下水道」、農業用水の水質保全、農村の
生活環境改善を目的といたしまして、
太田尾地区で
モデル事業として実施しております
農林水産省所管の「
農業集落排水事業」並びに厚生省所管で開発行為によります住宅団地等に設置されます「コミュニティ・プラント」及び「
個別合併処理浄化槽施設」などがあります。
これまで整備率につきましては、各省の事業目的から下水道は人口、
農業集落排水施設は採択地区数、
合併浄化槽は設置基数で示すなどばらばらであったわけでありますが、人口であらわした指標で統一的に表現することで3省が合意をいたしまして、これを
汚水処理施設整備率といたしまして今年度初めてまとめられたものでありますが、これによりますと、平成8年度末での本市の
汚水処理施設整備率は73.9%、
下水道普及率が65.5%となっております。
今後は、市街化区域と隣接いたしました
市街化調整区域の
公共下水道区域への取り込みを含めまして、それぞれの事業の特性や地域の実情に応じ、経済性、効率性のある最も効果的な方法により汚水の処理を推進してまいりたいと考えております。
次に、
長崎衛生公社の件につきましてお答えをいたしたいと思います。
公共下水道の普及に伴い、
し尿収集人口は減少の一途をたどっておりますが、
長崎衛生公社の
くみ取り収入もこれに比例いたしまして減少しております。このことは公社の経営にも、井原議員ご指摘のように深刻な影響を及ぼしております。
このようなことから、平成8年1月に
し尿処理事業の諸問題を調査検討するための
し尿処理事業問題対策会議を庁内に設置をいたしまして協議を進めてきたところであります。この対策会議では、将来にわたるし尿の適正な収集を確保するとともに、
し尿収集体制の
規模適正化を図り、あわせて衛生公社の
経営安定化を目的といたしまして、
長崎衛生公社経営安定化事業計画を平成9年2月に策定いたしました。
当該事業計画は、
し尿収集体制の見直し、
衛生公社自主改善策の実施、代替業務の提供を大きな柱といたしまして、今後、これらの計画に基づき順次、具体的方策を実施していくこととしております。
このうち、代替業務でございますが、
収集規模適正化に伴う収集車両の減車に応じて市から業務を提供しようとするものであります。ちなみに、平成9年度でございますが、
小中学校一般廃棄物収集業務、
科学館機器等保守管理業務、
西工場灰運搬業務を提供しているところでございます。
本市下水道事業の整備状況から、当分の間は衛生公社の収集車両は計画的に減車していかなければならないものと見込まれていることから、平成8年10月に策定されました長崎市
行政改革大綱で民間委託が計画されている業務につきましても受け入れ可能かどうかの検討を進めさせていただいているところであります。
また、衛生公社の
経営安定化対策といたしましては、
代替業務提供とあわせまして、
衛生公社自身の
自主経営改善策も積極的に推し進めていかなければならないものと考えております。
議員もご指摘のように、衛生公社におきましては、
家庭用合併処理浄化槽において新たに前処理装置及び流入管路の開発による製品特許を平成8年4月に取得し、その後、平成8年12月に建設大臣の型式認定を受け、平成9年6月に
国庫補助指針に適合する浄化槽としての登録がなされたところであります。衛生公社が開発しました
家庭用合併処理浄化槽は、発生する汚泥量が非常に少ない、処理水質が優れている、設置に係る工期が短いなどの特徴を有しております。衛生公社では現在、長崎県内の
下水道整備構想、
浄化槽設置状況、
浄化槽設置基準等の調査を完了し、市内及び近隣市町村の動向並びに需要量調査を行っておりますが、販売価格等の面で課題も残っており、また、全国的な販売展開が可能かどうかにつきましても、現在鋭意検討している段階であります。
し尿と生活雑排水をあわせて処理いたします
合併処理浄化槽は、
公共下水道区域から外れる地域にとりましては、地域の環境保全にかかわる水質改善や
生活環境改善の視点から新しい
生活排水処理設備としての有効な手段になり得るものであり、また、
生活排水処理のための社会投資という面からも、その効率は極めて高いものであります。
このため、本市といたしましても、この
新型合併処理浄化槽の販売につきましては、この事業が衛生公社の
経営安定化対策の大きな柱となることを期待するとともに、関係部局間で十分協議を行いながら公社と密接な連携を保ち、ハード・ソフト両面にわたる積極的な支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上、本壇よりの答弁といたしたいと思います。=(降壇)=
5 ◯19番(
井原東洋一君) 相当、前向きと評価できるような内容を含んだ答弁をいただきまして一定の評価をいたしますが、若干、再質問あるいは意見を述べさせていただきたいと思っております。私は、平成4年、つまり前々回の
下水道料金改定の時期に、ちょうど当該の
建設水道委員をしておりまして、料金改定に伴う要望事項として、この低地対策については委員会の中で発言し、各委員の賛同のもとに、たしか委員長報告に盛り込まれておったと思いますが、次いで平成6年3月10日に質問をし、一定の方向性を回答していただいておったわけです。しかし、ちょうどあれから4年目にして、ようやく具体的な施策を市長答弁として承ることができました。
実は、若干の心配がありました。と言いますのは、この下水道の進捗に伴う
困難地域対策については、多くの先進都市で取り組んでおりまして、それぞれそういう要綱を出発させるときに若干の
受益者負担といいますか、そういうものが当初、各個人に任じられておるという実態がございました。現在は、そういうところは余りありませんが、長崎市も新しい制度を出発させようとするときに若干の
受益者負担をもくろんでいるのではないかという心配をしておったわけです。しかし、今の市長答弁で、それは払拭することができました。
市長の答弁の要点は、これまで普及率優先、自然流下第一で低地対策は先送りしてきた。しかし、整備区域の位置づけをしており、住民の快適生活を保障するのは行政責任である。つまりは、
本管取り込みはすべて公費で行うというふうに私は受けとめたわけであります。
したがって、「早急に」という実施要綱の整備の時期、それから、「一定の基準」という、この言葉に若干の危惧を持ってはおりますが、ともに前向きに対処したいということでありますので、具体的な問題につきましては、その積極姿勢を評価して来年度の施政方針でも承ろうかというふうに考えます。
ただ、次のことを付け加えておきたいと思います。自然流下を第一にというふうに市長はさっき答弁されましたけれども、私は、必ずしもそうではなかったのではないかというふうに思っています。それは認可区域内の整備区域については、その建設及び維持管理がすべて公費で行われてきていること。これは私道であろうと公道であろうと、面整備につきましては2戸以上の場合はすべて公費で行われてきているという現実があります。
それから、現在、
汚水中継ポンプ場というのが6カ所稼働しておりまして、2カ所が建設中でありますけれども、これは広く言えば低地対策と言ってもいいのではないかというふうな考えを持っておりますけれども、それはすべて所要事業費と維持管理は公費で行われているということです。
それから、
自然流下困難地域に設置されている
マンホールポンプ場が12カ所ありますけれども、これも建設、維持管理はすべて公費で行われてきました。
また、下水道ではありませんが、その所管である
雨水排水ポンプ場につきましては、大きく言えばこれは低地対策であります。これも建設、維持管理はすべて公費で賄われております。
東長崎中尾地区における特環の建設及び維持管理、これもすべて公費で行われようとしております。水産農林部の所管ですが、
太田尾地区に
モデル事業として進められている農集排、これは1戸当たり500万円ぐらいの金を要しておりますけれども、これもすべて建設、維持管理は公費で行われる。水道局で行われている未給水地区無
水源簡易水道事業も、これは当然にも公費で行われているわけでありまして、以上のような状況からするなら、
下水道困難地域の整備・維持管理、これは当然にもすべて公費で行われるべきであるということを申し添えておきたいと思います。
次に、衛生公社の
経営安定化対策についてでありますが、市長答弁はかなり詳しく今後の対策につきまして説明をいただきましたけれども、私は、3つのことを指摘しておきたいというふうに思います。
まず1つは、市の下水道化の進捗に伴う公社の減車の計画でありますが、これは3カ年ごとに改定されるということになっております。しかし、ご承知のとおり下水道の普及状況というのは、まことに区々でありまして、
くみ取り作業の効率が悪い地点が残されるというのが現状であります。
したがいまして、減車基準、すなわち1台当たりの
受け持ち戸数、その見直しも同時に行われなければならないということを申し上げておきたいと思います。
次に、
くみ取り業務の減少、すなわち減車により余剰人員が算定されるといたしましても、直接的にその余剰人員を公社のビルド部分に配置替えをするということは非常に困難性を伴っているというふうに思います。したがって、相当以前から教育研修等々を行わなければならない現実にあろう。したがいまして、そういうことの所要職員の補充配置をご理解の上で適切な指導を行っていただきたいということであります。
3つ目に、公社が開発した
合併浄化槽についてでありますが、市が3分の1の出資をしている
株式会社衛生公社であります。努力をして特許を取り、建設大臣の型式承認品として、また国庫補助の指針適合の浄化槽として登録もなされているということを今お聞きしましたが、その普及に市の指定あるいは市の推奨品、そういう冠をかぶせて広く宣伝すべきものであり、適切な措置を行うべきではないのかということであります。蒲鉾とかチャンポンとか、
長崎ブランドの売り込みに一生懸命努力をしておられる、そしてまた特段の配慮をしておられる市長でありますから、ぜひこの3番目の丸適マークといいますか、市推奨品、市指定品というものの冠がかぶせられないかどうか。この問題については、ひとつ市長のお答えをいただきたいと思います。
6 ◯環境部長(舩本昌人君) 推奨品または丸適マークの検討の件でございますけれども、確かに議員言われるように、長崎市が3分の1の株式を有する会社でございます。それなりのバックアップは必要かと思いますけれども、今後、市内部でも十分この件に関しては検討、協議をしてみたいと考えております。
以上でございます。
7 ◯19番(
井原東洋一君) 最後に一つ申し上げておきますが、長崎市
合併処理浄化槽設置整備事業補助金交付要綱というのがあります。こういうものに基づいて、できれば今申し上げました
衛生公社開発の浄化槽等々を普及していただきたいとは思うんですが、一方、長崎市
環境保全条例というのがありまして、第36条と第37条について、その整合性を図る必要があるのではないかというふうに思っております。
したがいまして、この点も
環境基本条例等々も制定される準備のようでございますので、あわせて整備を図られるように特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
8 ◯議長(奥村修計君) 次は、1番大野泰雄君。
〔大野泰雄君登壇〕
9 ◯1番(大野泰雄君) 新しく生まれました新会派「新政21」の大野泰雄でございます。
質問通告に従って簡潔に質問いたしますので、市長並びに関係理事者の明快で簡潔、かつ、市民感覚で理解できる答弁をお願いします。
なお、第2項の3番目「長崎市
子育て支援計画策定の進捗状況」と5番目の「人にやさしい
公共交通政策」については、壇上での質問は割愛し、時間がありましたら自席にて質問することといたします。
第1項目は、長崎市長の市政に携わる基本姿勢にかかわる課題です。
市長は、政策遂行上の行政手法に関して所信表明や議会答弁で長崎市の第三次基本計画を引用しながら、「市民参加による市政運営」「市民とともに歩む都市づくり」との考え方を機会あるごとに強調されており、私も大いに賛同するところです。しかし、現実には
平和公園整備事業の原爆中心碑に関連した母子像に関する監査請求は、像の撤去と制作費1億4,000万円の返還を求める裁判に至り、伊藤市長は被告の立場に立たされています。また、原爆中心碑に関連した署名簿の電算処理に対しても、先月20日に「電算処理は
個人情報保護条例に違反する」との立場から「処理に要した時間外手当約280万円の返還と謝罪」を求める監査請求が出されています。
そこで、「市民参加による市政運営」との観点から、市長の意に反して起こされた、この2つの事態は、何が問題であったのかと思われるのか、その見解と今後の対応策をお聞かせ願いたい。
次に、政策形成過程への市民参加に重要な鍵を握っている各種委員会の改革問題です。
この課題は、さきの6月議会の一般質問でも取り上げましたが、全般的には「委員会等をより適切で効果的なものにするために設置基準や委員の公募制導入を含めた選任基準を設けるなど制度の改善を図ります」との答弁にとどまっています。その後の検討状況、特に類似委員会の整理・統合、会議の原則公開、公募制の導入、女性委員の一定割合確保、委員の兼職・期間制限など諸問題に対する検討状況と見解をお聞かせください。
大きな項目の2つ目、人と自然にやさしいまちづくりに入ります。
最初は、国際環境規格「ISO14001」の取得問題です。
期せずして今、京都で「地球温暖化防止国際会議」が168カ国の政府、NGO代表など8,500名を超える参加で開催されています。マスコミも世界中から240社、3,500名といわれており、地球環境問題に対する関心の高さと事態の深刻さがうかがわれます。「ISO」の記号は聞き慣れない名称で、私も最近覚えた名称ですが、私たちになじみのJIS規格の国際版で、物の本によりますと「『ISO14001』は、国際標準化機構、これがISOという略称らしいですけれども、この国際標準化機構が定めた国際規格の一つで『環境マネジメントシステム』という。品質保証に関する国際規格『ISO9000』シリーズと同様、組織の運営システムが対象。努力目標の環境方針を掲げ、組織のトップから現場まで一体となって省エネや廃棄物削減などを実行する。ISO取得後も定期的に組織を見直して環境への負荷を減らす継続的改善が必要」と解説してあります。
長崎市の第三次基本計画でも「資源リサイクル社会」を目指すことが強調されていますが、この言葉には2つの意味が含まれていまだあいまいになっていると思います。1つは、事業体としての長崎市と行政区としての長崎市の2つです。ISO14001の取得は、長崎市が事業体として「環境自治体」であることが国際的に認定されることを意味します。資源リサイクル社会を目指すには明確な獲得目標が必要だと思います。高いハードルとは思いますが、ISO14001の取得に挑戦表明をし、その準備に入る決意のほどをお聞かせ願いたい。
2番目の廃棄物行政に移ります。
地球の大気、水、土壌など生物生存の基礎的条件、地球の生態系の危機が叫ばれ、これまでの生産システム、生活スタイルの変革が迫られているのが、今、世界の注目を集めている地球温暖化防止京都会議ではないでしょうか。私たちは環境によって生かされてきました。しかし、その快適な地球環境がこのままでは危ないとの認識から、地球環境保護問題では「地球的視野で考え、身近なところで実行する」ことが大切だといわれています。政府レベルでの会議で地球温暖化防止に向けて温室ガス効果の規制策を盛り込んだ議定書が締結されると確信しますが、私たち長崎レベルでもできることから行動を開始していかねばならないと思います。個人では何ができるのか、家庭では、地域では、市役所の職場レベルでは、全庁レベルでは、長崎市政レベルでは何が合意できて、どこまでできるのか、議論を開始し実行できればと思います。
そこで、具体的な質問ですけれども、長崎市の廃棄物行政は、国や県の廃棄物減量化の指導方針を受けて、大気汚染の規制、発電と熱の活用、分別収集と資源化などさまざまな努力がなされているとは思いますが、いまだ大量廃棄-大量焼却-大量埋め立て-環境汚染の拡大の悪循環を断ち切るまでには至っていないと言わざるを得ません。
私は先般、同僚議員と東京三多摩の東村山市を視察させていただきました。人口約13万6,000人の東村山市は、「脱焼却、脱埋め立てによる資源循環型のまちをめざす」「ごみ処理施設から資源化施設へ」「計画から実施まで市民参加を貫く」の3点を基本理念に、計画は去年から10年計画で既に実行段階に入っています。「廃棄物は資源」を合言葉に、市民、事業者、行政が協力して減量化、資源化に努め、現行のごみ総資源化率53%を10年後には90%以上にとの目標で奮闘されています。脱焼却のための資源化施設として生ごみ堆肥化施設、ごみ固形燃料化施設、脱焼却の補完施設、これは熱分解溶融炉らしいです。脱埋め立てのための資源化施設としてプラスチック減容施設、不燃粗大ごみ破砕処理施設、灰の処理施設などを100億の投資額で建設するとしています。驚かされたのは、焼却炉の解体まで計画の中に盛り込まれているという徹底ぶりでした。
そこで、お聞きしますが、長崎市の第三次基本計画で「資源リサイクル社会」を目指すことが明言されています。現在、策定中の環境基本計画や最重要部分を占めるごみの減量化・資源化の長期計画では、脱焼却・脱埋め立ての理念が貫かれているのか、ご見解を伺いたい。
また、長崎市が実施している家庭での生ごみ堆肥化容器購入補助事業と生ごみ減量化のために実験的に導入している生ごみ処理機の現況と今後の対応策を明らかにしていただきたい。
最後になりますけれども、4番目の緑化対策について伺います。
長崎の地形はすり鉢型とよく表現されます。平坦地が少なく、山に囲まれて、急斜面に家々が建ち並ぶ景観が「1000万ドルの夜景」と宣伝されるゆえんだと思われます。私も誇りに思う風景の一つですが、昼間はどうでしょうか。長崎の町並みをつくった源ともいえる中心部の川筋は、ほとんどが三面コンクリートの側溝と化しています。散歩したくなる並木道は、人それぞれの好みがあるでしょうが、平和公園周辺の一角と崇福寺前通りなど数少ないのが現状ではないかと思います。大手町の高台から長崎の町並みを眺めると、剥き出しの山肌が印象的です。平和祈念像付近から稲佐山山系の剥き出しの山肌を見る観光客は、どんな印象を持つでしょうか。
具体的にお聞きします。長崎市西部の市道小江原町春木町線で4カ所の開発がなされ、相当広範囲に山の緑が削られています。これらの開発行為に対し、緑化対策の観点に絞ってどのような指導をされているのか。
また、市道小江原町春木町線に限らず市内随所に道路建設に伴う法面がコンクリートの吹き付けのままに放置されている現状にあります。法面は、防災対策上の対応は当然としても、景観、生態系など環境保護の観点からも緑化対策を強化する必要があると思いますが、今後の対応策をお聞かせください。
さらに、春木線にはゆったりと歩道があるにもかかわらず樹木が植えられておりません。春木線後に開通した稲佐道路には桜の木が並木として植えられていますが、20カ所ほど根こそぎなくなっていたり枯れたりしています。これらの点検調査、維持補修と対応策もあわせて答弁願います。
以上をもちまして、壇上からの質問を終わらせていただきます。
よろしくお願いします。=(降壇)=
10 ◯議長(奥村修計君) 伊藤市長。
〔伊藤一長君登壇〕
11 ◯市長(伊藤一長君) 大野泰雄議員のご質問にお答えをいたしたいと思います。
まず、平和公園の整備事業についてでございますが、被爆50周年の記念事業の一環として推進してまいったところであります。この整備事業の中で、中心地地区につきましては、祈りのゾーンとして被爆50周年の大きな節目を機に世界へ向けて被爆の悲惨さを伝え、被爆者の冥福を祈るとともに核兵器廃絶と世界恒久平和を祈念する場として整備を進めてまいりました。
その中で、祈りのゾーンのシンボルとなる中心碑につきましては、平成9年1月24日に出されました「市議会議長私案」を重く受け止めさせていただきまして、その後さまざまなご意見やご指摘を踏まえ、市内部で慎重に検討を行い、熟慮に熟慮を重ねて苦しい判断のもと、これ以上市政の停滞や混乱を招くことは適切でないという判断に立ちまして、平成9年2月1日に現在の中心碑をそのまま残すこと、及び富永氏制作の碑を中心地地区内の別の場所に設置することをあわせて表明したところでございます。
このことにつきましては、市議会代表者会議あるいは長崎原爆中心碑問題を考える市民連絡会の方々もご了承されているものと受け止め、その後、市内部におきまして具体的な検討を進めたところでございます。
その結果、富永氏制作の碑は、被爆50周年記念事業碑とすることとし、具体的な設置場所につきましては、これまでいただいたご意見や経過を踏まえまして、中心地点から一定の距離をおいた場所とし、また、人の動線や滞留空間を考慮し、さらに製作者の意向も尊重するなど慎重に検討した結果、中心地点から約70メートル南西に離れた国道沿いの緑地の一画に設置することとし、平成9年3月市議会及び6月市議会で皆様方にご報告したところでございます。
その後、平成9年7月16日に被爆50周年記念事業碑を建立し、8月1日より中心地地区全体を市民の皆様に開放したところでございます。
大野議員ご指摘の被爆50周年記念事業碑に関する住民訴訟の件でございますが、平成9年6月9日に市民9名の方より住民監査請求がなされ、監査の結果、平成9年7月23日に「監査請求には理由がないものと決定した」旨の監査結果が出されたところであります。
しかし、この監査結果を不服として平成9年8月22日に、市民5名の方より住民訴訟が長崎地方裁判所に提起されたところであります。その後、平成9年10月13日付で、長崎地方裁判所より平成9年(行ウ)第5号損害賠償等請求事件として市に訴状が送達されております。請求の趣旨としては、被爆50周年記念事業碑の制作設置費用の損害賠償金の支払い及び被爆50周年記念事業碑の撤去を求めるものであります。
したがいまして、住民訴訟が提起されている最中でありますので、訴訟に関しますコメントは、申しわけございませんが、差し控えさせていただきたいと考えていますので、ご理解方をよろしくお願いいたしたいと思います。
次に、長崎原爆中心碑に関する署名簿電算入力への監査請求についてでありますが、平成9年11月20日に「長崎市職員措置請求書」が監査委員に提出され、受理されており、平成9年11月25日付で監査委員より、市に対し住民監査請求に基づく監査の実施についての通知が出されております。
署名の集計作業に電子計算機を利用したことにつきましては、署名請願の審査が行われます平成8年12月市議会の開催を間近に控え、署名者数の正確な数値を把握する必要があったことから、時間短縮の手段として市内居住者分のみの住所、氏名の入力作業を卓上パソコンで行い、その集計処理につきまして汎用コンピュータを使用したものであります。
集計を行いましたのは、市内居住者分の総数、重複分及び世帯数であり、出力して得られたものは個人が特定される資料ではなく、これらの数値であります。また、住所、氏名を一たん入力しましたが、数値が出た段階ですべて消去しており、現状では保護すべき個人情報は全く記録されていない状態であります。
したがいまして、署名簿の電算の集計作業につきましては、署名数の集計に電子計算機を利用したものであり、個々人に関する情報を調査したものではありませんので、条例には抵触しないと考えております。
今後の電子計算機の活用につきましては、市民の皆様の信頼関係に立って、高度情報化社会の構築に向け、今後、一層の地域情報化の積極的な推進を図りたいというふうに考えているところでございます。
次に、各種委員会の改革についてお答えをいたしたいと思います。
まず、各種委員会の改革についての基本的な考え方についてでありますが、本市は、行政の政策形成過程において広く市民の意見や学識経験者等の専門的な知識を取り入れ、行政運営を公正かつ円滑に推進するための効果的な制度として、市民を構成員とする各種委員会の活用を図ることといたしております。
また近年、行政需要の多様化、高度化の進展及び地方分権に伴う権限の拡大等により委員会の数も増加する傾向にあることから、今後これらの委員会等を一層効果的、効率的に運営していくことが不可欠であり、本市の
行政改革大綱においても委員会制度の改善を掲げているところであります。一方、今年9月には国の行政改革会議中間報告として「審議会等の整理・運営等に関する指針」が出され、その中では休眠状態の審議会や基準作成を行うだけの審議会の整理、また委員の資格要件やその構成のあり方、会議の公開などの項目が具体的に示されております。さらに、今年11月、自治省から示されました「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針」においても、各種審議会等については、地域の実情に応じて合理化を図ることとされているところであります。
現在、これらの指針等を参考にしながら、本市の実態に即する形で見直しにかかる作業を鋭意進めておりますが、その際、具体的に検討している項目の主なものにつきましては、まず会議の公開については、法令等によりその制限がなされている場合や、プライバシーの保護の観点からの配慮が必要な場合、公開することにより他に不利益を生じさせたり、その後の会議に支障を来したり、また、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生じさせる場合などを除き原則公開とすること。また、会議に係る文書の公開についても、長崎市情報公開条例の規定に基づき適正に処理すること。そして、既存の委員会等についても所期の目的を達成したもの、社会経済情勢の変化等により著しく必要性が低下したもの、活動が著しく低調なもの、他の行政手段等で対応が可能なもの、設置目的及び所掌事務が他の委員会等と類似または重複しているもの等については、その必要性を再度精査し、それらの廃止、統合を検討すべきことなどであります。
さらに、委員の選任についてでありますが、さきに述べました国の行政改革会議中間報告におきまして、「行政が基本的な政策の立案等を行うに当たっては、政策等の趣旨、原案等を公表し、一般の公衆、専門家、利害関係人等から幅広く意見の聴取を行い、これを考慮しながら最終的な意思決定を行う、いわゆるパブリック・コメント制度の導入を図るべきである」ことが示されております。
本市におきましても、調査、審査など専門的な委員を要する委員会を除き、広く一般市民からの意見を募ることを目的とする委員会にあっては、各界各層の中から適任者の参加をいただくことが必要であり、そのための選任方法のあり方について一般公募も含めた形で検討しているところであります。
それとともに、個々の委員がその職責を十分に果たし得るよう他の委員会の委員との兼職の数を限ることや、同一委員を再任する場合の在任期間の限度を設けることなどについても検討してまいりたいと考えております。
また、女性委員の登用の促進についてでございますが、平成6年6月に制定いたしました「審議会等の委員への女性の登用推進要綱」に基づき、西暦2000年までに登用率が30%以上となるよう指導いたしておりますが、今後ともその推進に努めてまいる所存でございます。
なお、これらの項目について、その実効性の確保を図るためパソコンを活用した委員会等に係るシステムの整備についても、あわせて検討することといたしております。
次に、人と自然にやさしいまちづくりの国際環境規格「ISO14001」の認証取得の促進についてお答えをいたしたいと思います。
ISOは、日本では国際標準化機構と呼ばれ、例えばフィルムの感度や非常口の表示板の国際的規格統一などあらゆる分野において、国際的な規格の標準化を定め、これに関するさまざまな活動を発展、促進させることを目的に設立されたものであります。
ISO14000シリーズにつきましては、1992年のブラジルのリオデジャネイロで開催されました「地球サミット」を背景にして地球環境を改善するために国際規格の導入の必要性が強く認識をされ、1996年9月に発行されたところであります。また、同様に同年10月に日本におきましても、日本工業規格に環境JIS「JIS-Q-14000シリーズ」として制度化された経過があります。さらに、環境マネジメントシステムづくりの要素としてISO14001が発行されたところでありますが、これは(1) 環境管理方針、環境目標計画の立案(プラン)、(2) 目標達成の実施・運用(ドウー)、(3) 環境監査の実施(チェック)、(4)改善行動(アクション)をシステムとして確立し、あわせて外部への公表も義務づけられ、これらのシステム構築が認証取得の条件ともされているわけであります。
このような背景を踏まえ、最近では若干の都市においては、このシステムの認証取得について研究を重ねていると聞き及んでおりますが、ISO14000シリーズを導入することは、常にすべての行政面において環境への負荷や影響の評価を考慮に入れた行政執行を行うとの意思表示であり、総合的な調整など相当期間、時間を要するなど困難な状況でなかなか進行しない状況であります。
本市といたしましては、平成11年度末を目途に現在(仮称)長崎市環境基本計画を策定中でありますが、この計画の中で基本理念、基本方針や進行管理などにおいてISO14000シリーズの考え方を反映できないものか、あわせて検討を行ってまいりたいと考えております。
ご指摘の認証取得につきましては、省エネ、リサイクルなど環境保全計画の具体化に大きな力を発揮する意味からも環境基本計画策定後の課題として、他都市の動向などを見ながら研究してまいりたいと考えております。
また、企業への助言、指導につきましても、認証取得企業が国内外を問わず品質面も環境面において信頼性が非常に高く評価されることをかんがみて、長崎県の関係機関及び本市商工観光部によりまして講習会等を開催しておりますので、今後とも関係機関等への連携を図り、企業への助言、指導を行ってまいりたいと考えております。
第2点目の廃棄物行政でございますが、本市におきます今後の廃棄物の減量化とリサイクルの長期計画の作成でありますが、平成4年に「ごみ減量化・資源化基本方針」、平成6年4月に平成20年度を目標年次とする「一般廃棄物処理基本計画」を策定しているところであります。この基本計画の廃棄物の排出抑制・再資源化計画の内容は、市民生活や事業活動に伴って発生するごみの排出源での管理・抑制及び再資源化並びに適正な処理に関し、市民、事業者及び市の責務を明確にしながら啓発を図り、リサイクルシステムの確立や市民、事業者の自主的な取り組みへの指導、支援等の措置を講じることを盛り込んでおります。
この中で、具体的な排出抑制の方法といたしましては、市民はごみ排出者としての責任を自覚し、市が定める分別のルールを守ることや、みずからごみを減らす工夫や再利用に努めるといった市民の責務や、みずからの責任で適正に処理し、減量及び再資源化に努めるといった事業者の責務、市民及び事業者の意識啓発を図り、効果的な方策を実施するといった市の責務等を定めております。また、平成8年9月には、容器包装リサイクル法に定める分別収集計画を策定し、容器包装廃棄物の排出抑制、分別収集を実施するに当たっての具体的な計画を盛り込んでおります。
今後は、このような計画を勘案しながら、本年11月に市民、事業者、行政が一体となって設立をしました長崎市リサイクル推進協議会の意見を十分反映をし、ごみゼロ社会に向けて市民の啓発などできることからごみの減量化、資源化を図ってまいりたいと存じます。
次に、廃棄物のリサイクルの推進につきましては、将来、理想的には廃棄物の徹底した資源化を図り、持続可能な社会を構築することが必要になってくるものと思われます。このような中で、当面するごみ問題を解決するためには、どのようにして市民や事業者等の公共マナーを高め、ごみを発生から断ち切るかといった努力が重要になってくるわけであります。
具体的に申しますと、廃棄物の減量化の方策としてよく用いられております「ごみの減量化基本四R」(1) リフューズ(不用な物は買わない、つくらない」、(2) リデュース(ごみを減らす)、(3) リユース(繰り返し使う、再利用する)、そして最後の手段としてリサイクル(原料に帰し、リサイクルされたものを選ぶ)といった減量化の基本に立ち返った市民、事業者、行政の取り組みを環境先進国などの例を見倣って、真剣にできることから進めていく必要があるものと存じます。
集合住宅に大型の生ごみ処理機等を設置してごみの減量化対策を進めることに関しましては、設置場所の問題あるいは住民の協力やモラルの問題、エネルギーの収支、費用や管理・衛生上の問題、処理された物の処分・利用の方法など他都市の状況等を十分勘案しながら研究を進めてまいりたいと考えております。
その中でも、家庭等から出される生ごみの排出抑制策といたしましては、家庭や団地での堆肥化、家庭菜園での利用といった生ごみの自己処理は、ごみ減量に対する市民意識の啓発にもつながり本市において生ごみの堆肥化容器購入に際しての助成等を行っており、一定の成果を得ているものと考えているところであります。今後ともごみの減量化対策の一環として、まずは生ごみ等のごみを出さないライフスタイルの見直し等の啓発に努力してまいりますとともに、生ごみ堆肥化容器の普及・啓発につきましては検討を加えながら推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
あとの緑化等の件につきましては、所管の部長の方から答弁することといたしたいと思います。
以上、本壇よりの答弁といたしたいと思います。=(降壇)=
12 ◯都市計画部長(坂本昭雄君) 人と自然にやさしいまちづくり、特に緑化推進につきまして、道路、公園あるいは民間宅地等での既存の法面あるいは街路樹等の植栽がなされてない、特に稲佐山山腹におきます小江原町春木町線の沿線につきましては、街路樹が乏しいではないかと、そういう質問でございます。それについてお答えをいたします。
基本的な一般論といたしましては、道路における緑化につきましては、木陰の確保あるいは良好な景観の形成を通じまして、道路利用者や沿道の住民に快適な道路空間を提供するとともに、この地球環境、特に排気ガスの吸収などによりまして、よりよい環境を創出するなどの多くの効果があっているところでございます。そういう緑に対しては重要な役割を果たしているということで私どもは認識しているところでございます。
このようなことから、道路の新設あるいは改良に当たっては、構造的に適合する箇所につきましては、街路樹あるいは植栽等の設置や法面の緑化等を積極的に実施しているところであります。今後ともこの道路緑化につきましては、都市緑化を推進するということも通じまして非常に私どもとしては積極的にやっていきたい。また、モルタルの吹き付け等につきましても、今後いろんな調査を行い、既にモルタルで吹き付けしている所につきましても、緑化の可能な箇所につきましては年次計画を立て、ツタ類等をはわせるなどの緑化を推進していきたいと考えています。
特に、稲佐山山腹の市道小江原町春木町線につきましては、平成元年の4月に開通いたしております。約4キロで開通いたしておりますけれども、街路樹が植えてない所、幅員10メートル、それと基本的には歩道の2.5メートル以上の部分が緑化の対象になるわけでございますけれども、約1,800メートルほどございます。これらにつきましては、現地調査あるいは歩道の歩行者の通行の安全あるいは予算等も含めました年次計画を立てながら私どもとしましては極力緑化の方向で検討をしていきたいと思っております。
それと沿線の宅地開発等いろんな都市の活性化あるいは住宅の供給など重要な役割を果たしております。これらの宅地開発に関する法面につきましても、開発調整協議会において十分協議して、開発計画の中に種子吹き付け、あるいは岩盤緑化など適切な指導を行いながら都市の緑化の推進を図っております。また、今後とも極力、緑化につきましては行政指導も行っていきたいと考えておりますので、ご了承を願います。
以上です。
13 ◯市長(伊藤一長君) 大野議員さんの質問の中の緑化でございますけれども、今、所管の都市計画部長の方から答弁がございました。私の方からも一部補足をさせていただきたいと思います。
確かに、私も就任しまして2年7カ月を経過して2年8カ月に入ったわけでございますけれども、確かに同じ道路でも歩道が狭い所、箇所付けはちょっと具体的にはご了承いただきたいと思いますが、議員皆さん方も傍聴者の方々もお気づきの箇所もあろうかと思いますが、同じ市の道路でも歩道が狭くて街路樹が植わっている所もあるし、今、大野議員さんがご指摘のように、歩道もそれほど広くないけれども街路樹が全くないという所もあります。そういう問題もあります。また、小江原から稲佐山に至る道路もせっかく街路樹を植えたのにいつの間にか桜の木がいたずらされたり、折れたりというふうな形になっているという箇所もございます。そういうのは、今、所管の部長も答弁いたしましたように、私どもも総点検しなくてはいけないのかなということ。
もう一つは、市の道路でございますが、これから新たにつくる道路等につきましては、できるだけ法面につきましては、ただコンクリートの吹き付けだけだという形ではなくて、何らかの緑とか花とか、そういうものができるような形で、これから新たにできる道路につきましては配慮をすべきだと、これは環境の問題ということも含めてですが、これは大事なことではないかなというふうに思います。
それから、もう一つは、市内の長崎の場合は周りに山があるわけですので、緑がいかにもたくさんあるように見えますが、市内には残念ながら高木も含めてなかなか、低木はたくさんあるんですが、高木とか、木陰とか、そういうものがなかなかないということも含めて、こういうふうなことはやはりこれからのまちづくりということを考えたら、ぜひ私どもももう一度足元から見直す必要があるのかなというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
14 ◯1番(大野泰雄君) どうも、ありがとうございました。
何点かにわたって再質問をさせていただきたいと思います。
まず、1項目の今、裁判と監査請求、2つ抱えておりますけれども、私がここで市長の見解をお聞きしたいというのは、市民参加の姿勢あるいは市民と一緒になって市政をつくっていく。そういうことを非常に大切にされている市長さんだろうと思うんですね。ところが、不幸にして裁判ざた、あるいは監査請求が再度コンピュータ問題で出される。これについて一体、何が問題であったのかというふうに市長さんは考えられているのか。
これは裁判中だからコメントを避けたいというふうなことですけれども、そこが一番大切なことではないのかな。例えば市民と一緒に市政を進めます。これは何も起こってない時期に、これはどなたでもできるだろうと思うんです。ところが一たん、市民が反発をして「市長、これが問題ではないか」というふうに言われたときに、どのような形で市民の懐に入って納得しながら、お互い納得しながら市政を進めていくのか。そういう行政手法が今からは問われるんではないのか。こういう点から私は第1項目の質問をしたんです。
そういう意味で、市長さんにもう一遍具体的にお聞きしますけれども、長たらしい名前ですね、被爆50周年記念事業碑ですか、通称は母子像と言いますけれども、この母子像の件で裁判とは別個に公開質問状が市民団体から出されているというふうに思うんですけれども、これについての回答、どのような回答を出されたのか、まずお聞きしたいと思います。
15 ◯都市計画部長(坂本昭雄君) 被爆50周年記念事業碑にかかります公開質問状に回答を出しております。基本的に私どもは議会で回答しております趣旨にのっとり、あるいはそれに沿って回答をいたしているところでございます。
以上です。
16 ◯1番(大野泰雄君) ちょっとよくわからなかったんですけれども、公開質問状に対しては具体的なコメントを避けたということですか。
17 ◯都市計画部長(坂本昭雄君) 今日は、公開質問状につきましては、私どもも、先ほど市長が説明しましたようにコメントを避けたと申しますか、今は適切ではないという考え方で回答をいたしているところでございます。
18 ◯1番(大野泰雄君) そういう行政手法が今、問われているんではないのかな。市民が疑問に思ってきたときに、素直に正直に対応するというのが大切な行政手法のあり方ではないのかな。
そういう意味では、一部の市民と言われようが何にしようが、強権的な行政手法というふうに言われないように、ひとつ市長さんは問題が起こったときに、懐に入って問題を解決する、そういう気持ちを持っていただきたいというふうに、これはこれ以上は無理でしょうから要望にとどめておきたいというふうに思います。
それから、環境問題のISOの取得問題でお聞きしました。これについては現在、策定中の環境基本計画は平成11年度までに策定する予定である、ですから、この過程でこのISOの考え方をできるだけ反映をしたい、ISOの取得問題についてはその後に検討する、こういうふうな答弁であったというふうに思いますけれども、これでは市の職員の環境問題に対する気持ちの持ち方といいますか、やはり環境問題の場合には全庁を挙げてこの問題について取り組んでいくという姿勢と具体的な取り組みが大切であろうと思います。
ところが、往々にして基本計画をつくるとかいう場合には、これはどこの部が担当するかな、どこの課が担当するかなということで、結局はその部、課のところに集中してなかなか全庁的な取り組みにならないというのが、これまでさまざまな形でいろんな基本計画がつくられていると思いますけれども、基本計画はつくったけれども、しかし、その後の実行がなかなか進まないというふうにいろんなところで指摘されているというふうに思います。
そういう意味で、この環境問題というのは、21世紀を目指して、これは全体的にどうしてもやらなければいけないという大きな課題でありますので、そういう意味で、このISOの取得という明確な目標を掲げて全庁的な努力をするということが大切だろうというふうに思います。そういう意味で、これについては単なる平成11年の環境基本計画後に検討するということではなくて、早急にこの取得をどうするかという全庁的な議論の場を設けていただきたいというふうに、これも要望にとどめておきたいというふうに思います。
それから、環境問題はできるところからやっていくということが大切だというふうに言っておりますけれども、生ごみの堆肥化対策の問題で、長崎市が取り組んでいる生ごみ堆肥化容器の購入者募集ということで、今月の広報ながさき12月号に載っております。そういうことで、こういう形で広報を徹底して、そして市民の啓発を行い、そしてなおかつ、具体的に各家庭で生ごみの堆肥化という行動をやっていただくということでも非常に大切だろうというふうに思うんです。
けれども、これは非常に問題だと思ったのは、この中で補助を受けられる方ということで、「1番、市内にお住まいの方、2番、容器を設置できる敷地をお持ちの方、3番、堆肥化された生ごみを自家処理できる方」というふうな条件が付いているんですね。ところが、はっきり言えばこれは土地持ちでなからんと、この容器購入の対象にならないということですけれども、これは生ごみ堆肥化のこれは実態がまだまだ理解されてないんではないかと思うんですよね。例えばアパートお住まいの方、これはこの容器を使って堆肥化の作業ができないというふうに認識されているんですか。これはアパートの方でもこれはできると思うんですけれども、これについての理事者の答弁をお願いします。
19 ◯環境部長(舩本昌人君) 現在、補助を受けられる方に、議員ご指摘のとおり3点の条件と言うんですか、3つ掲げておりますけれども、ここでまず2番の容器を設置できる敷地にお住まいの方というのが、ひとつ議員の疑問のところだろうと思います。
実は、この生ごみ堆肥化容器については、室内用、室外用というものがございまして、室内用でもこれは堆肥化できるわけですけれども、問題は、堆肥化した後の使用が、いわゆる使用できる方という意味での敷地をお持ちの方というふうにご理解いただければと思います。
以上でございます。
20 ◯1番(大野泰雄君) あのですね。これは本当、こういう意思がある方は、できるだけたくさんの方に容器を購入していただいて実践していただくということが必要ではないかと思うんですね。堆肥化というよりも、これは例えば籾殻を使った堆肥化のやり方、これは例えば家庭料理の中で残滓が出ますよね、これは容器に籾殻を入れて、その中に生ごみを入れると4、5日でこれがなくなっていくということも、そういうこともできるんですね。
ですから、堆肥化をつくって土地に返さんばいかんということだけではないんですね。ですから、そういう意味でアパート住まいの方でも、敷地を持っていない方でも、そういう方法はあるわけですから、どしどしそういう方にも普及をさせていただきたいというふうに思います。
そういう意味で、この要綱の表現の変更ということについては、やっていただけるでしょうか。これは以前もそういう市民の指摘があったと思うんですけれども、どうでしょうか。
21 ◯環境部長(舩本昌人君) 生ごみ堆肥化容器、今、環境部の方で取り扱っているものにつきまして、生ごみ堆肥化容器と生ごみ処理機がございます。先ほど私がお答えしましたのは、あくまでも生ごみを堆肥化して使用するということの機械でございます。もう一方は、生ごみ処理機でございまして、生ごみをいわゆる機械の中に入れまして減量化する機械でございます。これも生ごみ処理機の一部適用はしております。これは減量をして、そして、あとごみステーションに出す、いわゆるごみとして一般廃棄物として出すというのが基本的な考え方でございます。
以上でございます。
22 ◯1番(大野泰雄君) ちょっと素直になっていただきたいと思うんですけれども、そんなに難しい質問をやっているわけではないんですね。
この容器については、アパート住まいの方には、これは補助はできないということですか。そこまではっきり言ってください。そういうことではないんでしょう。アパート住まいの方でもどんどん容器を購入してくださいということでしょう。本来の趣旨は。
ところが、この表現によって、「あら、私は敷地がないからだめだわね」というふうに思われるわけですから、その辺はきちんと表現を変えていただきたいということを言っているわけですから。素直にひとつ答弁していただきたいと思います。
23 ◯環境部長(舩本昌人君) 別にアパート住まいの方を補助の対象外としているわけでございません。室内用もございますので、そういうご利用の方もできることでございます。
以上でございます。
24 ◯1番(大野泰雄君) それから、それに関連して、機械の方ですね、今度。今からいろんな種類の生ごみ処理機といいますか、あるいは生ごみ堆肥化の機械ですね、今度は。これがいろんなベンチャー企業なんかが一生懸命になって減量化あるいは堆肥化という2つの側面から機械を開発しているというふうに思うんですけれども、現在の長崎市の補助金制度というのは、これは基本的には容器3,000円までというふうになっているんですけれども、今からどんどんごみ処理機の普及ということについては、長崎市も現在6機ですか、実験的に導入して、その状況を把握されているというふうに思うんですけれども、今後はそういういろんな事業所とか、あるいは家庭でもこのごみ処理機を普及させていくということについて、内部でどのような検討をなされているのか、この辺についてちょっとお聞きしたいと思います。
25 ◯環境部長(舩本昌人君) 今のご質問の生ごみ処理機の件だろうと思います。生ごみ処理機につきましては、議員が今言われたようにいろいろなメーカーがございます。多岐多様にわたっておりまして、家庭でもモニター制度を実施しながら、いわゆる各メーカー、商社等が販売を行っている現状でございます。しかしながら、各機種とも改良を要する等の情報を聞いておりますので、今後はそのような情報あるいは他都市の状況を調査分析した上で市民への啓発に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
26 ◯1番(大野泰雄君) それから、各種委員会の改革のところで、市長は詳しくどういう点を改革しようとしているのかということで見直し作業の中身を述べられました。この見直し作業、この指針の策定を大体どういう時期に、めどを一応どのくらいにされようとしているのか、その辺についてお聞かせ願いたいと思います。
27 ◯総務部長(園田純一郎君) 再質問についてお答えいたします。
ただいま市長が答弁いたしましたとおり、今年9月に示されました国の行政改革会議中間報告の際の指針、及び今年の11月に自治省から示されました指針等を参考にし、また、他都市の基準等も調査をしながら本市の実態に即す形での見直し作業を鋭意進めております。
作業の上では、見直しの内容によっては、現在、設置している委員会等の規定を改正せざるを得ないという場合も考えられます。そのために一定、慎重な検討も必要でございますので、今後できる限り早く一定の基準づくりの策定をいたしたいというふうに考えております。
28 ◯1番(大野泰雄君) それから、もう時間も余りありませんので、最後に市長に要望をして終わりたいと思います。
先日、新聞を読んでおりましたら刺激的な文言がありました。自民党の梶山元官房長官が「君子豹変せよ」というふうな見出しの雑誌の論文があったんですけれども、俗に君子豹変ということは悪い意味で使われているわけですけれども、しかし、この中で梶山元官房長官は、「中国の故事は、本来はそういう意味ではないんだ、人格者は速やかに過ちを認めることだ、そういう意味で君子豹変せよ」と言われているようですけれども、私は、市長の政治姿勢で述べたように、やはり一番大切なことは「市民とともに歩むまちづくり」ということを、困難なときこそその方法はどうすればそれができるのか。こういうことを市長によく考えていただきたいということを私の方から最後に要望として述べまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
29 ◯議長(奥村修計君) 次は、47番中村すみ代さん。
〔中村すみ代君登壇〕
30 ◯47番(中村すみ代君) 質問通告に基づきまして2点にわたり質問いたしますので、市長におかれましては、明快かつ誠実、前向きなご答弁を心から期待するものでございます。
まず最初に、精神障害者福祉施策の充実強化についてでございます。
1993年(平成5年)は、全国約150万人の精神障害者の皆さん並びにご家族の方々にとって記念すべき年となりました。同年に成立した障害者基本法により、「障害者とは身体障害、精神薄弱、または精神障害があるため長期にわたり日常生活、または社会生活に相当な制限を受ける者をいう」とされ、精神障害者も障害者として法律に明記され、明確に福祉の対象として位置づけられたからです。参議院においては、「精神障害者が法律の対象であることを明定したことにかんがみ、精神障害者のための施策がその他の障害者のための施策と均衡を欠くことがないよう」との附帯決議もなされました。
これらの流れを受け、1995年(平成7年)には精神保健法が改正され、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が成立し、7月1日より施行され、同年10月1日より精神障害者保健福祉手帳制度がスタートしたのでした。
このように福祉のあり方を考える方向としましては、入院中心の医療体制から地域中心のケア体制へ、つまり精神病院から社会復帰へ、社会復帰施設から地域社会へ向けた大転換が始まったと言えると思います。このことは実に身体障害者の皆さんへの福祉サービス、身体障害者福祉法成立、1949年(昭和24年)から数えて46年目、精神博弱者の皆さんへの福祉サービス、精神博弱者福祉法成立、1960年(昭和35年)から数えて35年目という長い道のりであったと思います。
そこで、私は、長年にわたり差別と偏見の中で苦しんでこられた当事者や家族の皆さんの思いに応えて、障害者全体の福祉サービスのレベルアップを念頭に置きつつ、現時点において、とりわけ充実強化が求められている精神障害者の福祉サービスの向上を目指して、9月議会における同僚議員の一般質問に引き続き2点につき質問をいたします。市長の明快、かつ前向きのご答弁を心から期待するものでございます。
1.交通費助成についてでございます。
現在、身体障害者の方には身体障害者手帳、精神博弱者、つまり知的障害者の方々には療育手帳が交付され、年間5,000円の市単独事業である交通費助成がなされております。この制度は、ともすれば家庭に引きこもりがちな方々に社会復帰と社会参加の機会を提供するものとして重要な役割を果たしているものと思います。精神障害者の皆さんにとっても、共同作業所への通所、精神科・保健所デイケアの利用、通院その他あらゆる社会参加の促進にとって大きな役割を果たすものと考えます。したがって、他の障害者の皆さんと同様に公平、平等に早急に助成の実施をすべきと思いますが、市長のご見解を伺います。
2.精神科医師・看護婦などの医療従事者を対象とした講演会などの開催でございます。
精神障害者の皆さんにとって、福祉サービスの充実強化が地域や家庭で生活していく上でいかに大切か。このような視点から法律の成立がなされたことは、先ほど述べました。このことについて医療・保健関係者がどれだ関心を持っているのか、いささか疑問に感じることがあります。
そこで、精神障害者の皆さんにとって一番の理解者であり、また、理解者となっていただかなければならない医師を初めとする医療従事者に対して、あらゆる機会を通じて法律の内容、理念や目的、本市で取り組もうとしている保健・医療・福祉サービスの概要などについて講演会や研修会などを開催して研修していただき、なお一層理解を含めていただくことは大変意義があることと思います。
入院患者総数が全国で約35万人といわれている中で、約3割の方々が社会的入院といわれていることからも、この種の試みは取り組み方の工夫次第では関心を寄せていただけるのではないかと思います。関係者の理解と協力があって初めて本市の施策の具体化ができるものではないかと思いますので、この点につきましても市長の前向きのご答弁を期待いたします。
次に、質問の大きな2点目ですが、国の財政構造改革に対する市長見解と本市の10年度予算編成に与える影響について質問いたします。
11月28日、財政構造改革法が成立しました。その背景となっているのは、国・地方を通じての深刻な財政危機であります。しかし、何ゆえに深刻な財政危機がもたらされたのか。政府の説明は一切ない中で、その理由があたかも急速な高齢化社会で年金受給者が毎年約100万人増加し、社会保障だけでも1兆円近い自然増が見込まれるなど、財政赤字の主な要因が社会保障関係費にあるがごとき宣伝がされているのが現実ではないかと思います。
しかし一体、財政危機をもたらした真の理由は、どこにあるのでしょうか。政府の長期債務は91年以降急速に膨れ上がります。90年度末の国債発行残高は166兆円だったのですが、97年度末には、それが254兆円に上ります。わずか8年で実に88兆円、約50%強という借金を抱え込むことになりました。一体、このような巨費が何のために、だれのために使われたのでしょうか。それははっきりしています。バブル経済の破綻、長期不況の中で、景気対策、公共投資という名目で大企業や財界のてこ入れのために使われたのです。93年に16兆1,100億円、94年には12兆3,000億円、95年に16兆5,000億円というようにです。しかし、その結果がどうなったかと言いますと、期待したはずの景気の回復は遅々として進まず、むしろ景気の低迷と国内産業の空洞化の進行、中小企業の倒産、国民生活の危機に拍車がかかっているというのが現状ではないでしょうか。
このことからもわかるように、財政危機の要因は、主として政府の政策の結果にほかならないのです。にもかかわらず、その責任も反省も明らかにせず、97年度には消費税率5%アップの大増税、特別減税の廃止、医療保険制度の改悪で9兆円もの国民への負担増により、一方的に国民に財政危機打開のための犠牲を強いてきたのが実際ではないかと思います。
そして今、財政構造改革法の成立により2003年度までに赤字国債の発行ゼロに、今世紀中の3年間を集中改革期間と定め、その期間中は一切の聖域なしで歳出の抑制を図るというものです。しかし、中身を具体的に見ていきますと、聖域なく切り捨てているのは国民生活分野に直結するものであり、聖域を設けて優遇しようとしているのは軍事費であり、公共事業の配分重点化措置などであります。普天間基地の代替基地建設だけで約1兆円といわれ、高規格幹線道路、拠点空港、中枢・中核港湾、市街地整備など大手建設資本と大企業の利益への配慮が施された公共事業は推進するという実態が明らかになってきます。
一方、聖域なく切り捨てられるものの中で、国民生活分野に直結するものとしては、社会保障関係に顕著に影響が出てきております。社会保障費98年度自然増8,000億円を3,000億円に5,000億円の大幅削減、具体的には医療費国庫負担金について医療費及び薬剤費の適正化、保健・福祉関連3計画関係の施設整備費6%削減、地方公共団体向けの補助金のうち地方に同化・定着したものの一般財源化、国立病院・療養所は廃止・民間への移譲を含め見直しを行うなどとなっています。さらに、年金の支給開始年齢の延長、給付水準の引き下げも予定されています。
また、地域経済に大きな影響を持ち、住民に身近な生活関連の社会資本整備のための公共事業は一律7%削減ということで、地方の中小建設業者は大きな打撃を受けることになります。公共事業の中には、確かに不要不急のものもありますが、労働者や事業主並びに家族の生活と営業の問題を無視して一方的に削減というやり方は、まさに国民犠牲の財政構造改革と言わざるを得ません。一方、同じく厳しい財政事情にある地方自治体に対しても、行財政改革の徹底化、財源の重点的・効率的な配分を行い、歳出を厳しく抑制すべきなど国家財政の危機を地方財政の負担で乗り切るのが当然であるかのような事態となっており、その影響が1985年の補助金一律カット時より深刻になるのは必死であるとさえ言われています。
そこで、市長に質問いたします。
1.政府が進めている財政構造改革について、自治体の首長としての立場から、率直なお気持ちをお伺いしたいと思います。
2.10年度予算編成において、公共事業や民生関係における影響について、また、編成方針について、お尋ねいたします。
以上、壇上よりの質問をこれで終わりたいと思います。ご答弁によっては再質問を自席からさせていただきます。
どうも、ありがとうございました。=(降壇)=
31 ◯議長(奥村修計君) 伊藤市長。
〔伊藤一長君登壇〕
32 ◯市長(伊藤一長君) 中村すみ代議員のご質問にお答えをいたしたいと思います。
まず、精神障害者福祉施策の充実についてでございますが、これまでの精神障害者施策は、精神保健、とりわけ精神医療を中心に推進されてきました。しかし、平成5年に心身障害者基本法が障害者基本法に改正をされ、精神障害者が障害者として位置づけられたことを踏まえ、平成7年に精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正をされ、精神障害者を障害者福祉施策の対象としてとらえることが明確に示されました。
この法律に盛り込まれました精神障害者保健福祉手帳制度によりまして、身体障害者、精神薄弱者と同様の援助が講じられやすくなり、精神障害者の社会復帰、社会参加の促進が図られるようになりましたことは非常に意義深いものがあると考えております。しかしながら、手帳に基づく福祉的施策につきましては、制度の歴史が浅いこともあり、身体障害者手帳や療育手帳の所持者に比べまして助成内容に違いが生じております。現在、精神障害者保健福祉手帳所持者に対する助成制度といたしましては、国の制度として所得税、住民税、自動車税等の税金の優遇措置があり、また、精神疾患の通院医療費公費負担金制度に係る手続きの簡素化が図られており、さらに、本市においては、市の公共施設及び市営駐車場の使用料の減免の措置をとっているところであります。
ちなみに、これまでに手帳を取得された方は、平成9年11月末現在でございますが、357名となっております。
中村議員ご質問の交通費助成についての考え方でありますが、本市では、身体障害者手帳や療育手帳の所持者に対しまして、市単独の事業としてバス券、電車券、タクシー券、ガソリン券のうちいずれかを交付しております。現在のところ精神障害者保健福祉手帳所持者に対する助成は実施しておりませんが、交通費を助成することは、通院や作業所への通所など障害者の社会復帰、社会参加の促進を図る上で最も身近で利用しやすい制度であり、閉じこもりがちな精神障害者の方々に外出する機会を少しでもふやしていただくためにも重要であるというふうに考えております。
中村すみ代議員さんのご指摘、そして、先ほど壇上でもご指摘になりましたように、9月の議会では中村照夫議員さんからもご指摘がございまして、ほかの議員さん方も非常にこの件につきましては熱心にご指摘されておられます。また、さきのハートセンターで行われました長崎市障害者の福祉懇談会の折にも熱心に関係団体から私どもの方にその趣旨が出されておりまして、その中身につきましては私も十二分に承知をしているつもりでございます。
ただ、中村議員さんの一番後段のご質問にございましたが、今年末のいわゆる平成10年度の予算編成というのが国の指針自体がどういった形で具体的に出てくるのかというのが、まだ非常に不透明でございますので、それを見定めた中で、どういうふうにこの問題に対応するのかということつきまして、中身につきましては、先ほど申し上げましたように十二分に私どもも承知をしておりますが、全体の枠をまずとらえさせていただきたいと思いますので、いましばらく時間をおかしいただきたいというふうに思います。
次に、精神科医師・看護婦等の医療従事者に対します講演会等の開催についてでありますが、さきにも申し上げましたように、平成7年の法改正は新たに精神障害者の福祉を法の中に位置づけ、精神保健と精神障害者福祉を総合的に推進することを目的としたものであり、この目的に沿って精神障害者保健福祉手帳制度、相談指導等及び社会復帰施設に関する規定が設けられるなど地域における生活支援が重視されるようになってきております。
このような福祉施策の推進をより具体化するため、国においては平成7年12月に、県においては平成9年3月に障害者プランが策定されており、これを受けまして、本市におきましても、現在この障害者プランを策定中でありますが、これらの施策を実現していくためには行政、医療機関及び社会復帰施設等による相互の連携・協力が不可欠であります。また、かかる施策をより充実したものとしていくためには、これらの各機関等において関係者一人ひとりが精神保健福祉の現状や体制等を広く学習し、積極的に取り組んでいくことも重要であるというふうに考えております。
このような中、国におきましては、入院や入院継続等の判定を行う職務に携わる精神保健指定医の研修を5年ごとに実施し、関係法令等の周知を図っているところであります。また、県におきましては、長崎精神病院協会等に対し、法改正の意義や行政の動向などについての指導を行っているところであります。さらに、精神病院に対する実地審査や精神医療審査会の審査過程の中で法の趣旨等の周知を図っております。
本市におきましては、市内の精神科医師や看護婦等に対する講演会などは現在実施しておりませんが、本年度、新たに精神保健福祉に係る関係機関等が相互に連携し、総合的支援体制を整えることを目的とした長崎市精神保健福祉連絡協議会を設置いたしました。この協議会は、精神病院協会代表者、精神病院職員、患者及び家族会代表者等を委員として組織しており、この協議会では、精神保健福祉についての知識の普及啓発に関すること等をご協議いただくようにいたしております。
したがいまして、今後は、この協議会を活用し、そのご意見を踏まえながら議員ご質問の講演会の開催など各種施策の展開について努力してまいりたいと考えております。
次に、国の財政構造改革に対する市長見解と本市の10年度予算編成に与える影響についてお答えをいたしたいと思います。
国及び地方公共団体においては、財政状況が危機的状況にあることを踏まえ、国及び地方財政の健全化を目的とする財政構造改革の推進に関する特別措置法が、本年11月28日、国において成立したところであります。特別措置法では、平成10年度から平成12年度までを特に集中改革期間と定め、社会保障関係費、公共事業費、補助金の見直しなど12項目にわたって国の量的縮減目標及び制度改革を初め地方財政の健全化策が講じられております。
これを受けまして、平成10年度の国の予算は、生活保護、社会福祉等の社会関係費につきましては、人口構造の高齢化等に伴う軽費の自然増を3,000億円以下に抑制する、公共事業費総額は前年度比7%以下のマイナスとする、文教予算では義務教育国庫負担金の増加は教職員給与のベースアップ分の除いて300億円以下にとどめるなどとされており、かなり厳しい内容となっております。現在、国においては、各省庁ごとに予算査定中であり、本市のどの事業が、どの程度の影響を受けるかは不透明でありますが、今後、国の予算編成の動向を注視してまいりたいというふうに考えております。
なお、平成10年度の本市の予算につきましては、財政構造改革の趣旨を踏まえながら編成していくこととなりますが、地方財政計画が明らかでない状況下では、各施策の徹底的な見直し、優先順位の厳しい選択を行い、既に役割を終えたと思われる事業については廃止するなど、経費の節減合理化措置を積極的に織り込むことを基本的な方針として対応してまいりたいというふうに考えております。
以上、本壇よりの答弁といたしたいと思います。=(降壇)=
33 ◯47番(中村すみ代君) 2点にわたり市長の方からご丁寧なご答弁をいただき、本当にありがとうございました。
まず、1点目の精神障害者の皆さんへの福祉施策の充実強化についてということに対しまして質問あるいは意見、そういったものをまず述べたいと思います。
まず、先ほどの市長のご答弁は、交通費助成の問題、あるいは講演会の開催の問題につきまして前向きなご答弁をしていただいたと私は回答を伺いながら、そのように理解しております。
そこで、まず交通費助成の問題で来年度の予算編成という形での具体的なご答弁はありませんでしたけれども、財源の問題などのお話をなさったわけなんですが、現在の手帳取得者357名の方を対象にした交通費助成をする場合に、財源としてどのくらい必要なのかということですね。これは小学生でも暗算すれば大体金額的にははじき出せるわけですけれども、それを確認したいと思います。
私の試算というふうなオーバーなことではありませんが、大体年間150万円の予算措置が必要ではないかというふうに思うわけです。あとできちんとしたご回答をお願いしたいんですけれども、この150万円という金額を市長にとっては恐らく比較してほしくない支出で比較させていただきますと、先ほど大野議員の質問の中にも出ておりました母子像制作にかかわる費用と、それから電算処理にかかわる時間外手当250万円、合計しますと約1億5,000万円を超えるわけですけれども、それと単純に比較しますと約100年ぐらい、もちろん対象者の数もふえていくわけですけれども、100年くらいの予算措置ができるという金額になるんですね。ですから、いかに母子像の制作費が莫大な経費なのか、福祉予算というのは非常に貧弱だなということを私は率直に申し上げたいんですけれども、まず予算措置をした場合に財源としてどのくらい金額が必要なのかということですね。
それから、これは手帳を、精神障害者の方々にとって手帳を取得するということは、どういうことなのかということについて若干私の意見を申し上げたいんですけれども、現在357名の方が手帳を取得していらっしゃるということですけれども、この精神障害者保健福祉手帳というのは、市長もご存じかと思いますけれども、この法律ができた後、手帳の制度をどうするかという議論の中で、写真を添付するかどうかということで大議論になったんですね。それくらい精神障害者の保健福祉手帳の取得ということは、障害者みずからが精神障害者であるということを公にすることなんですね。これはかなり勇気と決意が必要なんです。こういう勇気と決意を踏まえて申請に至るという手帳なんですね。
ですから、そういう手帳を取得しているということに対する重みというものを市長は十分理解していただきたいというふうに思うんです。
そういう手帳の取得者が今後ふえるということは、当事者はもちろん家族にとっては、精神障害者の問題がみずからの問題だけではなくて、長い間の差別と偏見の中にあった障害者の方たちの置かれている現状を打開していくといいますか、そういうことにつながるという、そういうものであるということもあわせて市長としては十分ご理解いただいて、今後他の障害者と公正を欠かないように交通費の助成については、金額的にも先ほど私が比較したように、本当に財源としてはそう多額のものではありませんので、ぜひ来年度予算編成においては特段の配慮をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思いますし、今後のこの問題を含めて精神障害者の福祉施策の充実についての市長の決意というものを改めてお伺いしたいと思います。
そして、あと財政構造改革の問題につきましては、時間がなく再質問ができませんけれども、ぜひこういった財政構造改革の推進の陰で犠牲を負うことになる市民を初め業界の皆さんへの特段の配慮を強く要望しておきたいと思います。
それでは、先ほどの予算措置をすれば大体どのくらいの金額になるのか、そのご答弁をよろしくお願いいたします。
34 ◯議長(奥村修計君) 時間がまいりましたので、休憩をいたします。
午後は1時から再開いたします。
=休憩 午前11時58分=
───────────
=再開 午後1時1分=
35 ◯副議長(塩川 寛君) 休憩前に引き続き会議を開きます。45番山本誠一君。
〔山本誠一君登壇〕
36 ◯45番(山本誠一君) 日本共産党の山本誠一でございます。
きょう12月8日は、日本の天皇制政府が1941年(昭和16年)に太平洋戦争を開始した日です。それから56周年になりますが、我が党は、戦前から一貫して侵略戦争に反対を貫いてまいりました。反戦平和、核兵器廃絶、被爆者援護のために一層奮闘する決意を表明するものであります。
以下、質問通告に基づいて被爆者行政、障害者対策、廃棄物処理場問題などについて質問しますので、市長並びに関係理事者の誠意ある答弁を求めるものであります。
最初に、「長崎原爆松谷訴訟」の福岡高裁判決について。
長崎の被爆者松谷英子さんが国を相手取り、原爆症認定申請の却下処分取り消しを求めた「長崎原爆松谷訴訟」控訴審で、福岡高裁は11月7日、原告の主張を認め国の控訴を棄却しました。ところが、厚生省は11月20日、福岡高裁の判決を不服とし、不当にも最高裁に上告しました。
松谷さんは3歳のとき、爆心地から約2.45キロメートル離れた自宅の庭先で被爆し、爆風で飛んできたかわらで頭部を陥没骨折し、右半身不随などの障害を負いました。1977年と87年の二度にわたり原爆症の認定を申請しましたが、いずれも却下されたため、88年9月に提訴しました。松谷さんが初めて原爆症の認定申請を行ってから20年9カ月、長崎地裁提訴以来9年が経過しています。この間の松谷さんの苦しみをこれ以上続けさせないためにも、国は上告を取り下げ、松谷さんを直ちに原爆症として認定すべきであります。
11月26日の長崎新聞に、私と同年配の男性からこんな投書が寄せられていました。「松谷さんはじめ多くの被爆者が52年に及ぶ長い年月を苦痛に耐えながら必死に生きてきたのです。厚生省は現行の審査のあり方を反省し、温かい救済の道を開いてください。もうこれ以上は待てないのです。国が上告したのは許されません。福岡高裁の判決を真摯に受けとめ、これからの原爆行政にぜひ生かしてください。そうすることが、二度と被爆者をつくらない証にもなるのです」との訴えです。
被爆地の市長として伊藤市長は、国に対して福岡高裁の判決を誠実に受けとめ、上告を取り下げ、松谷英子さんを直ちに原爆症として認定することを求め、今後の原爆症の認定に当たっては、実態に即した認定を行うよう要請すべきだと思いますが、ご見解を明らかにしていただきたいと思います。
2番目の質問は、去る28日の参議院本会議で強行可決された財政構造改革法の本市への影響と対応について。
政府は、財政危機と言いながら、その真の原因である財政の浪費構造は温存し、一方、教育や福祉、医療などの国民生活関連予算を2003年まで削るレールを敷くひどい内容のものです。カットの対象にされている補助金などが2,200件、約20兆円にも上り、その中には憲法25条の生存権に基づく生活保護費や小中学校校舎に要する費用や教職員給与などの国庫負担金も含まれています。政府は、国民に途方もない負担増を押しつけながら、一方では、山一証券を初めとした乱脈経営や総会屋への不正な利益供与などで破綻した金融機関に公的資金を投入しようとしています。
そこで、市長に質問します。
財政構造改革法に伴い、長崎市の新年度予算編成への影響や生活保護や教育費、さらには難病患者への公費負担削減などの影響と対応について明らかにしていただきたいと思います。
3番目の質問は、福祉行政について。
去る11月17日に長崎市障害者福祉懇談会が開かれ、その中で障害者団体からたくさんの要求が出されている中で、私は、2つの問題に絞って質問します。
1点目は、障害者プランの策定状況について。政府は、1995年12月に障害者プラン7カ年戦略を策定し、発表しました。「国連・障害者の十年」後の我が国の障害者施策をめぐっては、障害者対策に関する新長期計画の策定と、新たな2002年まで設定された障害者の10年、そして今回のプランの策定という、これまでにない施策の展開が見られ、多くの障害者、家族、関係者の期待を高めています。国の障害者プランに引き続き、長崎県もことし3月に障害者プランを策定し、本市も今年度策定予定で準備が進められています。
そこで、市長に質問しますが、障害者プランの策定に当たっては、障害者団体からもできるだけ数値目標を設定するよう求められていますが、策定状況について明らかにしていただきたいと思います。
2点目に、ろうあ者相談員の業務が多忙なため、センターのろうあ者相談員を増員し、社会福祉事業団の正規職員とすることが要望書の中に出されていますが、この問題では、福祉センター時代の相談員で、亡くなられた前任者はセンターの正規職員だったのに、現在はなぜ嘱託職員として配置されているのか、明らかにしていただきたいと思います。
最後の質問は、環境行政について。
1点目は、県廃棄物公共関与事業予定地の変更について。
県が琴海町に建設を予定している大規模な廃棄物処理場については、予定地が長崎市民の大切な水道水源である神浦ダム上流に位置していることから、県に建設予定地の変更を求めるべきだと要請してまいりましたが、県との協議結果について明らかにしていただきたい。
また、現在ある三方山の廃棄物処理場から排出される排水の側溝工事が現在進められていますが、この工事は、市との協議の上で進められているのか。
さらに、この処理場では感染性医療廃棄物やプラスチック類が焼却されているため、ダイオキシンの発生で水源汚染が危惧されるが、ダイオキシンの測定調査は実施されたのか、明らかにしていただきたい。
2点目は、感染性寄生虫クリプトスポリジウム等による水源汚染防止対策について。
昨年6月、埼玉県越生町で住民の半数以上の集団下痢が発生しました。その原因は、感染性寄生虫クリプトスポリジウムに汚染された水道水でした。この寄生虫は、チフス菌の500倍、コレラ菌の1,300から2,900倍も感染力があると言われています。家畜や野生動物に寄生する単細胞の寄生虫で、塩素消毒に対しては大腸菌の数十万倍も耐性が強いとされ、現在の浄水場のシステムでは完全に除去できないと言われています。越生町では、水道水を県の水源に切り替えて対処をしたと言われています。
越生町の集団感染を契機に、厚生省は昨年10月、水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針を策定し、予防対策を都道府県を通じ水道事業者等へ指示し、全国の水源水域地点におけるクリプトスポリジウムと類似の寄生虫ジアルジア等の検出を行いました。その結果、クリプトスポリジウムが検出されたのは秋田県、山形県、群馬県、栃木県、沖縄県の6水源水域8地点で、類似の寄生虫ジアルジアが検出されたのは長崎県、島根県、広島県ほか12都県の16水源水域24地点です。長崎県でジアルジアが検出されたのは、長崎市の浦上水源地上流の大井手川です。しかも、ジアルジアでは他県で10リットル当たり1、2個検出されたのに対して、大井手川では23個というけた外れに多く検出されています。
そこで、市長並びに水道局長に質問しますが、長崎市では、浦上水源地上流の大井手川における大量のジアルジア検出に対して、どのような対策が講じられたのか、明らかにしていただきたいと思います。
以上、壇上からの質問を終わります。=(降壇)=
37 ◯副議長(塩川 寛君) 伊藤市長。
〔伊藤一長君登壇〕
38 ◯市長(伊藤一長君) 山本誠一議員のご質問にお答えをしたいと思います。
「長崎原爆松谷訴訟」高裁判決についてお答えをいたします。
現在、被爆者健康手帳を所持されているご本人が受給できます各種手当は、議員ご指摘のように、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当、保健手当の5通りがございまして、そのうち、今回の訴訟に関連した医療特別手当を受給するためには、厚生大臣の医療認定を受けなければならないことになっております。
松谷英子さんは昭和20年8月9日、長崎市稲佐町1丁目の爆心地から約2.45キロメートルの自宅で被爆をされ、医療特別手当を受給するために、旧法原子爆弾被爆者の医療等に関する法律第8条に規定する医療認定の申請を昭和62年2月10日にされておられます。そして、同年9月24日に厚生大臣は、原子爆弾被爆者医療審議会の意見を聞きまして却下処分を行っております。その後、松谷さんは同年12月15日に、この却下処分に対して異議申立てを行いましたが、昭和63年6月21日に棄却となっております。
この却下処分に対し、処分を取り消すよう厚生大臣を相手として松谷さんが原爆被爆者医療給付認定申請却下処分取消請求事件、いわゆる松谷訴訟を昭和63年9月26日に長崎地方裁判所に提起をし、平成5年5月26日に「松谷さん勝訴」の判決があっております。この判決を不服として、厚生大臣が平成5年6月7日、福岡高等裁判所に控訴したものであります。その後、4年5カ月に及ぶ審理の結果、本年11月7日に福岡高等裁判所は、「認定申請の却下処分は取り消すべき違法事由がある」という内容の控訴棄却の判決があっております。
報道によりますと、判決の骨子は、(1) 原爆症の要件である起因性の証明は相当程度の蓋然性の程度で足りる。(2) DS86自体を絶対的尺度としてそのまま適用することには躊躇させる要因がある。(3) 行政通知は、具体的、個別的被爆者の呈する個々の傷害等と放射線の影響を検討するに当たっての判断基準として十分に参酌されなければならない。(4) 被控訴人(松谷英子さん)は、旧原爆医療法7条の適用により原爆症と認められる。(5) 被控訴人(松谷英子さん)の疾病と原爆放射能の起因性を否定できるとした原子爆弾被爆者医療審議会の調査審議及び判断の過程には看過しがたい過誤等があるとなっております。これを不服として厚生省は、本年11月20日に最高裁判所に対して上告の手続きを行ったところであります。
そこで、私の見解といたしましては、福岡高裁の判決は、国の認定行政に対して1審以上に厳しい内容であると受けとめているところであります。しかし、認定疾病の審査にあっては、厚生省の事務であります。そこで、長崎市としては、認定申請の経由庁として厚生省の審査に必要な書類を送付いたしているところであります。
先ほど申し上げました福岡高裁の判決に対して厚生省は、(1) 原爆症認定の要件である起因性について、福岡高裁判決は相当程度の蓋然性で足りるとしていることが国として承服しがたいこと。(2) 福岡高裁判決は、原告の原爆症の起因性の判断に至る専門的知見の採否に問題があると考えられることという理由により、上告の手続きを取ったところでありますが、これはあくまで、これまでの訴訟の経過や認定行政の経過等を踏まえた国の総合的な判断の中で出されたものでありますので、私としましては、今後も裁判の推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。
したがいまして、松谷さん本人のお気持ちは私もお察しいたしますが、国が上告したことに対しまして、私が取下げ申請をするという考えは持っておりませんので、ご了承を賜りたいと思います。
次に、財政構造改革法の本市への影響と対応についてお答えをいたしたいと思います。
本年11月28日、国において成立しました財政構造改革の推進に関する特別措置法の本市への影響でありますが、国が地方公共団体等に対して交付する補助金のうち、奨励的補助金につきましても、平成12年度までの集中改革期間内に各省庁ごと各年度1割ずつ削減することで歳出総額を圧縮するという数値目標が設定されております。
議員ご指摘の民生費、教育費関係の補助金が国において一定削減された場合、本市にどのような影響を与えるかという点につきましては、現在、国においては平成10年度予算の査定中で、個々の補助金の見直し額が不確定であり、また、地方財政計画においても補助金が減額あるいは項目そのものが廃止された場合、その手当てをどうするかが大きな課題となっております。地方財政計画等が明らかになっていない状況下では、本市への影響は不透明であり、今後とも国の動向を注視してまいりたいと考えております。
また、財政構造改革の推進に当たって、実質的に地方負担増につながる経費増が生じた場合につきましては、全国市長会を初めといたします地方六団体と協議を行い、国へ是正を働きかけてまいりたいと考えております。
なお、平成10年度の本市の予算編成に当たりましては、財政構造改革の趣旨を踏まえながら、各種施策の徹底的な見直し、優先順位の厳しい選択を行い、既に役割を終えたと思われる事業については廃止するなど、経費の節減合理化措置を積極的に織り込むことを基本的方針として対応してまいりたいと思います。
3点目の福祉行政でございますが、まず障害者プランについてお答えをさせていただきたいと思います。
障害者プランは、新ゴールドプラン、エンゼルプランとともに福祉の三大プランと言われており、障害者施策を総合的に推進するために策定されております。
国においては、「アジア太平洋障害者の十年」以後の障害者対策として、平成5年に障害者対策に関する新長期計画を策定しております。当計画は、生活のすべての段階で全人間的復権を目指すリハビリテーションの理念と、障害者が障害のない者と同等に生活し活動する社会を目指す、障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるようにする社会づくり、いわゆるノーマライゼーションの理念を基本的な考え方としており、平成14年度までの10カ年計画となっております。障害者プランは、この理念を踏まえつつ、施策の重点的な推進を図るため、「地域で共に生活するために」「社会的自立を促進するために」「バリアフリー化を促進するために」などの7つの視点から構成されており、平成8年度を初年度として14年度までの具体的な数値目標を定めた7カ年計画として、平成7年12月に策定されました。
また、長崎県では国の障害者プランを受け、平成9年3月に、平成8年度を初年度として平成14年度までの7カ年計画の長崎県障害者プランを策定しております。当計画は、県下を8つの圏域に分けまして、それぞれに数値目標を定め、施策の推進を図ることとしております。
本市におきましては、平成8年4月に長崎市障害者福祉に関する新長期行動計画を策定しておりますが、当計画の具体的な推進を図るために本年度中に障害者プランの策定を予定しております。プラン策定に当たりましては、基本的には国、県のプランに示された視点を踏まえること。また、長崎県障害者プランでは、本市は長崎市を含む1市14町からなる長崎圏域に含まれますが、当圏域の数値目標との調整も必要となるわけであります。しかし、本市のプランにおいて、長崎市の独自の施策を見出すことも求められておりますことから、本年7月には身体障害者、知的障害者の方につきましては、障害、等級、年齢別に1割の方を抽出し、重度と中軽度の4種類によるアンケートを、また、精神障害者の方につきましては精神障害者保健福祉手帳所持者の方全員を対象にアンケートを実施し、現在、集計分析の作業を行っているところでございます。
このようなアンケートの結果をもとに、庁内関係課で組織しております長崎市障害者対策会議及び障害者の代表や学識経験者で構成されます長崎市障害者施策推進協議会にプランを提示し、委員皆様方の意見を十分に伺いながら長崎市の障害者プランを策定していきたいというふうに考えているところでございます。
次に、ろうあ者相談員についてお答えいたします。
ろうあ者相談員は、茂里町にあります長崎市障害福祉センターで聴覚障害者の方の相談業務を行っており、長崎市社会福祉事業団の嘱託職員でございます。現在、同センターには、生活指導員、相談員、ソーシャルワーカーが6名配置されており、それぞれ障害者の方の相談業務を行っております。相談員の主な相談内容は、生活、医療、家族問題、対人関係、職業相談等となっておりますが、さらに、聴覚障害者の方々につきましては、コミュニケーションを円滑にするなどの配慮から、センターの相談員に加えて、ろうあ相談員を配置しているところであります。
山本議員がご質問にあります、ろうあ者相談員の増員と長崎市社会福祉事業団職員としての採用の件につきましては、一定の理解はいたしますが、今後の同センターにおける相談業務につきましては、現相談員など6名とセンターに配置しております手話通訳者とのさらなる連携を図ることによりまして、現在のところ聴覚障害者の方々の相談にも十分対応していけるものと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
次に、環境行政につきましてお答えをいたしたいと思います。
廃棄物公共関与事業につきましては、廃棄物を適正に処理するため減量化・再資源化の実施、無害化処理の実施、ハイレベルの環境保全対策、共同利用施設等の整備を柱として施設の計画がなされており、特に、環境保全対策としては、施設内で生ずる排水につきましては雨水を除いてセンターの外部には排出しないとなっております。特に、本事業が本県リサイクル産業の中核として位置づけられていることや、環境にやさしい産業の創造を目指し、先進的な役割を果たそうとしていることなどを考慮した場合、本市においても廃棄物の適正処理の確保は緊急の課題であると認識いたしておるところでございます。
現在、長崎県におきましては、既にご承知のとおり、琴海町西海郷を廃棄物公共関与事業の環境アセスメントを実施する候補地として決定し、平成9年度においては、産業廃棄物排出調査、航空測量、地表地質踏査調査等を実施しているところでございます。
今後、具体的な施設のレイアウト作業等に移行していく予定になっておりますが、しかしながら、本計画を進めるに当たっては、少なくとも神浦ダムの上流域であることを念頭に、水問題については最大限の配慮を行うこととし、最終処分場施設の配置についても水に影響が生じることがないよう分水嶺を分け、神浦ダム側ではない位置へ設置するという方向性が打ち出されているところでございます。
以上のような状況にかんがみ、本市といたしましても環境に負荷が生じない施設をつくっていくことが今回の計画の最も根幹にかかる点であることを十分に認識をし、今後の事業の推進に当たっては安全性の確保に向け、県との連携を図りながら協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。
また、議員ご指摘の長崎三共有機株式会社の三方山事業所下の側溝工事の件についてでございますが、同事業所の場外であるため、事前の報告はあっておりませんでしたが、工事を行っていることがわかった段階で、本市といたしましても一定把握しておく必要があると判断したために、同社に対し報告を求めたところ、場外側溝は、当該事業所以外の社有地と隣接地主との境界にあり、同社が土地を取得した際に、隣接地主との境界を側溝により明確にするよう約束したもので、両者協議の上、従来からの懸案事項であった工事を今回実施したものであるとの報告を受けております。なお、水質検査のサンプリングの場所については、側溝上部の処分場直下付近に堰を設けております。
次に、三方山の産業廃棄物焼却施設のダイオキシン対策についてでありますが、本年8月に廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び施行規則が改正をされ、焼却炉からのダイオキシン対策など廃棄物の焼却について規制の強化が図られ、12月1日より施行されたところでございます。この改正により、既設焼却炉におけるダイオキシン濃度の基準については、平成10年11月30日まではその適用が猶予されておりますが、平成10年12月1日から平成14年11月30日までは、排ガス1立方メートル当たりのダイオキシン量が80ナノグラム以下であることとされております。平成14年12月1日からは焼却炉の規模に応じて1ナノグラムから10ナノグラム以下とする基準に適合しなければ使用できないこととなっており、当該施設の焼却炉は、その規模からして10ナノグラム以下の基準が適用されることとなります。
また、ダイオキシン類の濃度の測定義務は、既存施設に対しましても平成9年12月1日から適用され、年1回以上測定・記録するようになっていることから、その測定結果を踏まえ、平成10年12月1日から適用されるダイオキシン類濃度基準を達成するために必要な施設の改善等について指導していきたいと考えております。
以上、本壇よりの答弁といたしたいと思います。他の問題につきましては、所管の部長の方から答弁いたしたいと思います。=(降壇)=
39 ◯水道局長(浜崎省吾君) 最後のご質問でございます感染性原虫クリプトスポリジウム等による水源汚染防止対策についてご答弁を申し上げます。感染性の原虫クリプトスポリジウムは、人間や哺乳動物(牛、豚、犬、猫等)の消化管内に寄生する原虫でございまして、感染した人や動物のふん便と一緒にオーシスト(嚢包体)が環境中に排出され、感染源となるものでございます。
水源にクリプトスポリジウムが混入した場合、通常の塩素消毒では死滅しないことから、浄水場でクリプトスポリジウムを十分に除去できなければ、水道水を介して感染症による被害が生じるおそれがございます。
クリプトスポリジウムの発症例といたしましては、1993年(平成5年)3月から4月にかけましてアメリカのウィスコンシン州ミルウォーキー市において40万3,000人が発症した例や、日本国内におきましては、我が国で初めて水道水を介してのクリプトスポリジウムによる感染症が平成8年6月、埼玉県の越生町において発生いたしております。
このようなことから、厚生省では、平成8年10月に水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針を策定し、各水道事業体への周知並びに指導がなされております。この指針では、浄水処理の徹底として、ろ過池出口の水の濁度を常時把握し、ろ過池出口の濁度を0.1度以下に維持することとされております。ちなみに、現在の水道水の濁度の基準は2度ということになっておりますけれども、これを0.1度以下にせよということになっております。この暫定指針を受けまして、水道局といたしましては、高性能の濁度計を逐次設置し水質管理に努めているところでありますが、あわせて本年2月に神浦ダムを含む13カ所すべての原水を神奈川県衛生研究所に検査依頼をいたしまして、その結果、クリプトスポリジウム等の感染性原虫の検出はなかったとの報告をいただいているところでございます。
しかしながら、その後、厚生省が全国94の水源水域を選定いたしまして、282地点の水道水源水質調査を実施いたしましたところ、本市の関係では、クリプトスポリジウムは検出されませんでしたが、大井手川よりジアルジアが検出されたとの報告を受けましたので、水道局といたしましては、再度、各浄水場の水道水のクリプトスポリジウム及びジアルジアの検査を岐阜県公衆衛生センターなどに検査依頼をしたところ、いずれもその後の検査等におきましては、検出なしとの報告をいただいているところでございます。
クリプトスポリジウム等の対策といたしましては、厚生省の暫定対策指針にもありますように、濁度を0.1度以下に維持することで汚染防止が可能なことから、現在、各浄水場に卓上型の濁度計、さらには各浄水場のろ過池ごとに、これは30数カ所ございますけれども、自動連続監視型濁度計を設置し、ろ過水の濁度管理に万全を期しているところでございます。
なお、ジアルジアにつきましては、塩素消毒により除去できることから、本市の水道水の安全は確保されているところでもございます。
水道局といたしましては、水源でジアルジアが検出されたということもありますので、今後とも定期的な検査等を並行し、水源水質の監視を強化し、水質管理に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
40 ◯45番(山本誠一君) 一通りご答弁をいただきましたが、再度、質問をしたいと思います。
1つは、松谷訴訟に関してでございますが、市長は、本人の気持ちは察するけれども、国の今後の対応を見守りたいというような態度表明をされたわけでございますが、長崎地裁に続いて、福岡高裁でも「国の却下というのは不当だ」「認定すべきだ」という明らかな判決が出ているわけですね。こういう状況の中にあって、ただ国に進達をするということだけの消極的な立場ではなくして、被爆地の市長としては、被爆者の立場に立って「これは即刻、認定すべきだ」という働きかけをぜひ行うべきではないかというふうに思うわけですが、再度、ご見解を承りたいと思います。
あわせまして、2点目に、現在の原爆症の認定の状況は、どういう状況になっておるのか。2キロ以遠については、DS86との関係において認めないという厚生省の今回の態度でございますが、長崎市で実際に認定をされた被爆者の中には、2キロ以遠の方が2割相当はおるんではなかろうか。私の過去の調査では、そういう実態もありますので、この点についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
2点目に、財政構造改革法に関して、私が一番許せないなというふうに思うのは、これは難病患者の方々が、長年の運動が実って、やっと20年前から公費負担という形で制度化されたものを、今回、財政危機を口実にこれを切り捨ててしまうという非情な措置は、これは断じて許すべきではないのではないか。長崎市内で、もしこれが実施をされますと、現在、難病患者が長崎市内で1,578人おられますけれども、膠原病の患者の方々や潰瘍性大腸炎の患者、パーキンソン病など、こうした公費負担の部分が患者負担に転嫁をされていくということは許されないというふうに思うわけですが、この点について再度、見解をお尋ねしておきたいと思います。
福祉行政の問題については、先ほどるる述べられたわけですが、障害者団体が数値目標を明確にしてほしいと、国の段階でも不十分ながらも障害者の運動を反映して数値目標を掲げられて、県も掲げておられます。そうしますと、長崎市が来年、恐らく3月ぐらいには発表されるんだろうと思うんですが、この数値目標について、長崎市の障害者プランには明確に掲げられる予定になっておるのか。なるとすれば、例えば授産施設や小規模作業所、こういうものについての設置は、どういう状況に考えられておるのか。この点、まずお尋ねをしておきたいというふうに思います。
41 ◯原爆被爆対策部長(岡田慎二君) まず第1点目の松谷訴訟の関係で、認定すべきであるということを国に申し入れるべきではないかということでございますが、これにつきましては、1審よりも2審の方が国にとって相当厳しい判断ということもございましたし、そこらあたりで、国としては承服しがたいという理由で上告されておりますので、その辺、先ほど市長が申しましたように、推移を見守るという立場でございます。
それから、認定の状況についてでございますが、実態を申し上げますと、現在、医療特別手当を受給されている方は367名。被爆者手帳をお持ちの方に対する比率では0.6%という状況でございます。
それから、この医療特別手当の制度が始まりましたのは昭和56年からでございますが、これから8年までの実績でございますが、申請が全部で729件、年平均に直しますと46件、このうち認定が23件、50%という形で推移いたしております。参考までに、昭和43年から同様の手当で特別手当というものがございましたけれども、この実績は、昭和43年から55年まで見てみますと、13年間で414件、年平均に直しますと32件、認定が18件ということで、56%という実態にございます。